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介護の仕事は資格なし・未経験でも働ける?できる仕事とできない仕事も解説

高齢者人口の増加に伴い、介護業界は比較的転職しやすいことで知られています。

また、介護の求人の中には「資格なし」や「未経験」でも、転職できる職場も多いです。

この記事では、資格なし・未経験で介護の仕事ができるのかを解説します。

資格のない介護士ができる仕事と、できない仕事についても詳しく解説するので、参考にしてください。

介護の仕事は資格なし・未経験でも就職できる

結論から言うと、介護の仕事は資格なし・未経験でも就職できます。

実際に、資格なし・未経験でも採用可能の求人は多いです。

資格なし・未経験でも介護の仕事ができる理由
  • 高齢者の増加に伴う、労働力の不足
  • 教育・研修制度が充実している職場も多い
  • 就職してからでも、資格の取得が可能
  • 資格が不要な仕事も多い

実際に資格なし・未経験で介護の仕事に就職するかたは多くいます。

しかし、資格なしではできる仕事に限度があるため、資格がある場合と比べて収入が低いのも事実です。

また、資格なし・未経験で介護の仕事に就く場合には、職場選びに気をつけなくてはいけません。

資格なしと資格ありの給料の違い

資格がない場合と資格がある場合では、介護の仕事に就職したとしても、給料に違いがあります。

資格の有無によって、できる仕事に違いがあるためです。

資格なしと資格ありの場合の介護職の給料
資格状況 平均給与額(常勤の場合の月給)
資格なし 268,680円
介護福祉士 331,080円
実務研修 302,430円
初任者研修 300,240円

資格なしの人の月給と、実務研修や初任者研修を修了した人の月給を比較すると3万円程度、介護福祉士の月給を比較すると6万円程度の違いがあります。

より高い給料が欲しければ、資格を取得してから働くのも一つの選択肢と言えるでしょう。

しかし、介護に関する資格は働きながらでも取得できます。

また、介護の資格は向き不向きがあるのも事実です。

資格なしで介護士として働いてみて、介護の仕事が合っていると感じたのであれば、働きながら資格の取得を目指すのもおすすめです。

資格なし・未経験で介護の仕事を始める際には職場選びに注意しよう

資格なし・未経験で介護の仕事を始める際には、職場選びに注意しましょう。

資格なし・未経験の場合、介護士として働きながら、介護の仕事を覚えなくてはいけないからです。

資格なし・未経験で介護の仕事に就く場合、以下のような職場を選ぶようにしましょう。

資格なし・未経験で就職すべき介護の職場の特徴
  • 無資格者OKの求人
  • 事業所規模が大きい
  • 研修制度がしっかりしている
  • 無資格者や未経験者へのサポート体制がしっかりしている
  • 職場の雰囲気が良い
  • インターネット上の施設の評判が良い

資格なし・未経験で介護の仕事に就くことを検討しているのであれば、転職サイトや転職エージェントを使用するのもおすすめです。

転職に関する様々な助言や求人の紹介をしてくれるため、介護の業界に精通していない人にとって大きな助けになるでしょう。

資格なし・未経験におすすめの介護の職場

介護の仕事と一言で言っても、様々な就職先があります。

資格なし・未経験の方におすすめの介護の職場の特徴について紹介します。

職場を選ぶ際の参考にしてください。

おすすめの介護の職場特徴
デイサービス
  • 利用者が昼間に施設に来て、介護やレクリエーション、リハビリなどの様々なサービスを受ける
  • 夜勤がないので、初めての介護士として働く人にも働きやすい
  • 送迎業務をすることが多い
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設
  • 24時間介護を提供する施設
  • 介護老人保健施設はリハビリ職員が常駐している
  • 比較的職員数が多い職場が多く、チームワークや介護技術が学びやすい
  • 他の施設と比較して、介護を多く必要とする利用者が多い
    夜勤業務がある場合が多い
グループホーム
  • 認知症を有する高齢者が家庭的な環境の中で共同生活をする施設
  • 小規模であることが多く、一人ひとりの利用者と密に関われる
  • 夜勤業務がある場合が多い
有料老人ホーム
  • 高齢者が安全かつ快適に暮らせるように設計された施設
  • 介護を必要としない方を対象としている施設(一般型)と、介護を必要としている方を対象としている施設(介護型)がある
  • 比較的自立している方が多く、介護の負担が少ない
  • 夜勤業務がある場合が多い

1年以内に認知症介護基礎研修を受けなくてはならない

資格なし・未経験でも介護の職場で働けますが、1年以内に認知症基礎研修を受けなくてはいけません。

認知症基礎研修とは、認知症対応力を向上させるための研修です。

2021年の法改正に伴い、認知症基礎研修の受講が介護に直接携わる全ての職員に義務化されています。(2021年4月から3年間は猶予期間、2024年4月から完全義務化)

認知症介護基礎研修は入職前に受けなくてはならない研修ではなく、入職後1年以内に受ければ良い研修です。

受講時間は150分と短く、eラーニングにて1日で受講できるため、働きながらでも受講できる研修と言えるでしょう。

認知症介護基礎研修の詳細
対象者 介護に直接関わる全ての人(一部免除される職種あり)
研修方法
  • eラーニング形式での受講
  • 講義動画視聴(150分)+確認テスト等
申し込み方法
  1. 認知症介護基礎研修のeラーニングサイトにて受講者登録をし、ユーザーIDを発行する
  2. 受講料を支払う
  3. 受講を開始する

※申し込み方法は各自治体によって異なる場合があるため、詳しくは各自治体のホームページなどをご参照ください

研修内容
  • 認知症を取り巻く現状(10分程度)
  • 認知症の定義と原因疾患(25分程度)
  • 認知症の中核症状と行動・心理症状の理解(30分程度)
  • 認知症ケアの基礎技術(60分程度)

介護の資格なしでできる仕事とできない仕事

介護の資格がない場合、できる仕事とできない仕事があります。

資格なしではできない仕事を知っておかないと、入職後にやってはいけない仕事をしてしまうリスクがあります。

資格なし・未経験で入職した場合、仕事の説明や指導を受けるとは思いますが、事前にできる仕事の範囲については知っておくと良いでしょう。

以下で資格なしでできる仕事とできない仕事について解説します。

介護の資格なしでできる仕事

介護の資格なしでできる仕事は多くあります。

以下で資格なしでできる介護をまとめたので、参考にしてください。

介護の資格なしでできる仕事
資格なしでできる仕事 具体的な仕事内容や注意点
生活援助
  • 掃除
  • 洗濯
  • <食事の調理や配膳、片付け
  • 買い物
  • 通院介助 など
送迎業務
  • 車での利用者の送迎
  • ただし、車の乗り降りなどの介助はできない
事務作業
  • 受付や電話対応
  • 請求業務
  • 日報などの記録業務
レクリエーション
  • レクリエーションの企画や運営

生活介助や送迎などといった利用者の身体に直接触れない介護は、資格なしでも実施できます。

直接利用者の身体に触れる介護は、資格なしの介護士のみでは実施できませんが、それ以外の多くの介護業務を行えます。

介護の資格なしではできない仕事

介護の資格なしでもできる仕事が多くある一方で、介護の資格なしではできない仕事もあります。

以下で介護の資格なしではできない仕事について解説します。

介護の資格なしではできない仕事
資格なしでできない仕事 具体的な仕事内容や注意点
身体介護
  • 入浴
  • 排泄
  • 食事
  • 移動や移乗
  • 衣服の着脱
  • 体位交換
  • 口腔ケア など
  • ただし、施設などでは有資格者の指導元であれば資格なしでもできる
医療的ケア
  • 喀痰吸引
  • 経管栄養の管理
  • 褥瘡などの創傷の処置
  • 血糖測定
  • 点滴の管理
  • 摘便 など

身体介護とは、利用者の身体に直接触れる介護を指し、資格なしの介護士のみではできません。

身体介護を単独で行うには、初任者研修などの資格を習得する必要があります。

ただし、施設などでは有資格者の指導のもとであれば身体介護も行えます。

訪問介護など、単独で利用者の介護をする仕事に就きたい際には、資格を習得する必要があるでしょう。

医療的ケアは資格のある介護士にも実施できない、看護師などの専門的な知識や技術を有する職種が行う業務です。

ただし、喀痰吸引や経管栄養の管理といった一部の医療的ケアに関しては、喀痰吸引研修を修了すると、介護士でも実施できます。

介護の資格なしから取得できる資格

資格なし・未経験で介護の仕事に就き、「今後も介護士として働いていきたい」と感じたら、介護の資格を取得することをおすすめします。

資格を取得するとできる業務の幅が広がるだけではなく、給料のアップにもつながるためです。

介護の仕事をしながら取得できる資格は多くあります。

以下で、資格なし・未経験で介護の仕事に就いてから取得できる資格について解説します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修とは、介護の基礎知識や技術を学ぶための研修であり、旧ホームヘルパー2級に相当する研修です。

介護職員初任者研修を修了すると、身体介護が単独で実施できるようになります。

介護職員初任者研修を修了すると給料がアップするだけでなく、訪問介護など働ける領域が増えるため、介護業界で活躍したいのであれば受けるのがおすすめな研修です。

介護職員初任者研修の詳細
対象
  • 誰でも受講可能
費用
  • 相場は5〜8万円
修了までに必要な時間
  • 130時間
  • 1〜3ヶ月程度で修了できるできる場合が多い
研修方法
  • 通信講座(自宅学習)や通学(スクーリング)
  • 通信講座のみでは修了できない
  • 修了試験として筆記試験あり
内容
  • 職務の理解(6時間)
  • 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
  • 介護の基本(6時間)
  • 介護・福祉サービスの理解と医療との連携(9時間)
  • 介護におけるコミュニケーション技術(6時間)
  • 老化の理解(6時間)
  • 認知症の理解(6時間)
  • 障害の理解(3時間)
  • こころとからだの仕組みの生活技術(75時間)
  • 振り返り(4時間)

介護職員初任者研修は夜間や休日のみ通学での講義が行われている講座もあるため、介護士として働きながら取得できる研修です。

単独で身体介護ができるようになれる最も一般的な研修であるため、介護業界で活躍したいと考えるのであれば、受けることをおすすめします。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護福祉士になるための試験を受講するために必ず受けなくてはいけない研修になります。

介護福祉士実務者研修は介護の専門職としてより専門的な知識や技術を身につけるための研修です。

介護福祉士実務者研修を修了すると、訪問介護事業所の「サービス提供責任者」になることもできます。

介護福祉士実務者研修の詳細
対象
  • 誰でも受講可能
  • 介護職員初任者研修を修了していると、一部講義の免除あり
費用
  • 9〜18万円程度
修了までに必要な時間
  • 450時間
  • 介護職員初任者研修を修了している人は320時間
研修方法
  • 通信学習(自宅学習)と通学(スクリーンぐ)
  • 通信学習のみでは終了できない
  • 修了試験の実施義務はないが、通学時に到達確認のために修了試験を実施するケースが多い
内容
  • 人間の尊厳と自立(5時間)
  • 社会の理解Ⅰ(5時間)
  • 社会の理解Ⅱ(30時間)
  • 介護の基本Ⅰ(10時間)
  • 介護の基本Ⅱ(20時間)
  • コミュニケーション技術(20時間)
  • 生活支援技術Ⅰ(20時間)
  • 生活支援技術Ⅱ(30時間)
  • 介護課程Ⅰ(20時間)
  • 介護課程Ⅱ(30時間)
  • 介護課程Ⅲ(45時間)
  • >発達と老化の理解Ⅰ(10時間)
  • 発達と老化の理解Ⅱ(20時間)
  • 認知症の理解Ⅰ(10時間)
  • 認知症の理解Ⅱ(20時間)
  • 障害の理解Ⅰ(10時間)
  • 障害の理解Ⅱ(20時間)
  • こころとからだのしくみⅠ(20時間)
  • こころとからだのしくみⅡ(60時間)
  • 医療的ケア(50時間)※<

※「医療的ケア」には50時間とは別に演習を修了する必要があります。

(出典:届出のない研修にかかる修了認定科目について 厚生労働省)

介護福祉士

介護福祉士は介護に関わる唯一の国家資格になります。

介護福祉士の資格を持つものは高度な介護技術と知識を有し、利用者の身体的ケアができるだけでなく、心理的ケアもできる介護のスペシャリストです。

高齢化社会において大きな需要があるだけでなく、介護福祉士を取得すると、大幅な給料アップが期待できます。

介護福祉士の試験の詳細
対象
  • 養成校や福祉高校を卒業していない場合、「介護福祉士実務者研修」の修了または、「介護職員基礎研修」の修了かつ「喀痰吸引研修」の修了と実務経験3年以上
試験日程
  • 毎年1月下旬の日曜日
合格発表
  • 毎年3月下旬
試験内容
  • 筆記試験(5肢択一のマークシート形式)
  • 上記の対象者の場合は、実技試験は免除
合格基準
  • 総得点の60%程度、かつ11科目全てで得点
出題内容
  • 人間の尊厳と自立
  • 人間関係とコミュニケーション
  • 社会の理解
  • 介護の基本
  • コミュニケーション技術
  • 介護課程
  • 発達と老化の理解
  • 障害の理解
  • こころとからだのしくみ
  • 医療的ケア
  • 総合問題

介護の仕事は資格なし・未経験でも働ける

介護の仕事は、資格なし・未経験でも働けます。

資格がないと、利用者の身体に触れるような身体介護は単独で行うことができないなど、できる業務に制限があるため注意が必要です。

また、資格がある介護士と比較すると給料が低いため、介護の仕事に継続して従事していく場合には資格取得を考えると良いでしょう。

介護の資格は働きながらでも取得できます。

高齢者人口の増加に伴い、介護士の需要は高まるばかりです。

この記事を参考にして、介護士としての大きな一歩を踏み出していきましょう。